一級水系白川の馬場楠堰における部分可動堰が水位および流速場に与える影響
大本 照憲/熊本大学特任教授 くまもと水循環・減災研究教育センター
宇根 拓孝/徳山工業高等専門学校 土木建築工学科
坂田 洋一/アジアエンヂニアリング株式会社 設計部
林田 祐一/熊本県 県北広域本部土木部工務課
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大本 照憲/熊本大学特任教授 くまもと水循環・減災研究教育センター
宇根 拓孝/徳山工業高等専門学校 土木建築工学科
坂田 洋一/アジアエンヂニアリング株式会社 設計部
林田 祐一/熊本県 県北広域本部土木部工務課
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大本先生、宇根様
土木研究所の猪股と申します。
興味深い研究ありがとうございます。
流下能力向上を目的として今後も多くの固定堰が改築されていくと思うので、その観点から非常に意義ある研究だと感じました。
1点、改築に伴う取水への影響について簡単な質問があります。
「部分可動堰への改築」ということなので、今回の論文で示された「開口部」にゲートが取り付けられ、平常時はそのゲートが閉じられている、と認識しました。その場合、平常時の水位は改築後も現在と大きく変化しないので、取水への土砂混入が現状と比較して増加することは無いと考えてよいでしょうか?(そもそも、取水口は左岸側ですよね?)
猪股様
徳山高専の宇根です.
ご質問ありがとうございます.
ご認識の通り,平常時(取水時)はそのゲートが閉じての運用となります.平常時において,取水口への土砂混入が現状と比較して増加することは無いと考えています.また出水時において,堰上流の土砂の流動性は全面固定堰に比べ,開口部のある場合の方が増加するため,取水口への土砂流入の問題は生じにくいと考えています.
宇根様
猪股です。
ご回答ありがとうございます。よく分かりました。
更なる研究の進展を祈念しております。
土木研究所の小関と申します。
部分可動堰化に関する研究は例が少ないですが、今後の流下能力確保において重要な選択肢だと思われるため、大変興味深く拝見しました。
2点ほど質問がございます。
1.実験条件について
水路床は固定床でしょうか?土砂の堆積に関する考察は見られましたが、侵食に関する考察が見られなかったため、そのように思いました。堰上流の湾曲部や堰下流の狭窄部など洪水中の河床低下(それに伴う水位低下も)が予想される箇所が見られます。固定床実験の場合、水位が高めに計測されるかと思いますが、危険側(水位が高め)を考察しているという位置づけでしょうか。
2.開口部の敷高について
河床上昇を抑制する観点から、可能な限り敷高を下げることも検討項目になりそうですが、開口部の切り下げ3mは上限値なのでしょうか。
以上です。よろしくお願いいたします。
小関様
熊本大学の大本です。(mail:ohmoto@kumamoto-u.ac.jp)
ご質問、有難うございます。
以下に、回答します。
1.実験条件について
模型実験は、計画河床であり固定床で実施しています。
2016年熊本地震による堰上流の堆積土砂は撤去すると同時に、計画流量毎秒1500m3に応
じた流下能力となる河道計画が立てられていました。
なお、熊本県では馬場楠堰を改築では改修の方向で検討しています。そのため、全面可
動堰を想定していませんでした。
2.開口部の敷高について
厳密には、ゲート天端高73.05m、ゲート敷高70.35mとなっています。結果的に開口部の
高さが3.0mと言うことです。
捕捉:河川法では、改築においては全面可動堰を基本としています。
ところが、現実の河川では固定堰上流では澪筋部のみ洪水が走り、灌木が繁茂した
砂州(島状態?)は死水域と化したケースや、河道湾曲部の内岸側の固定砂州を利
用した斜め固定堰が運用されたものもあります。
この様な背景から、固定堰を可動堰に改築する場合には、治水上問題が無ければ部
分可動堰の可能性を議論して良いのではないかと思います。
熊本県では明治以前の固定堰はそのほとんどが斜め固定堰です。
取水口の位置の制約から固定堰を可動堰に改築する場合、堰の位置を大幅に変える
ことも難しく、可動堰における土砂堆積問題も含めて改築においては多くの課題が
ある様に考えています。
大本先生
ご回答ありがとうございました。
ご指摘の通り、実績としては全面可動堰の方が多く見受けられますが、中には部分可動堰を採用している例も見られるます。堰の構造と様々な条件(取水安定性、治水安全性、上下流構造物の安定性、通砂性能など)に対する技術的な整理が必要かと考えています。