中規模出水中の洗掘により被災した橋脚周辺の流況評価 2024年6月17日 最終更新日時 : 2024年6月17日 竹崎 奏詠 著者 竹崎奏詠/国立研究開発法人土木研究所 水工チーム 小関博司/国立研究開発法人土木研究所 水工チーム 猪股広典/国立研究開発法人土木研究所 河道保全研究グループ 工藤俊/国立研究開発法人土木研究所 河道監視・水文チーム 説明資料 (竹崎02)河川シンポ発表スライド-ダウンロード
論文を拝読させて頂きました。流水方向に対する橋脚の傾斜角を考慮した河積阻害率は重要な観点と認識しました。ALBの結果を見ても橋脚周辺の洗掘・堆積傾向に傾斜角の影響が如実に表れており、このような知見の蓄積を期待しているところです。発表を聞くことが出来なかったので質問させてください。
・論文中では、河積阻害率が5%を上回る橋梁が多く見られるとの記載がございますが、ここで定義される河積阻害率は、本研究のように橋脚の傾斜角や基礎長を考慮したものになるでしょうか。それにより、5%の数字の持つ意味合いも変わってくると思った次第です。
・橋脚付近の流況は、低水路満杯流量程度が一番厳しくなるように考えておりましたが、この区間では二極化により経年的に低水路の河床高が低下し、洪水流が低水路に集中しやすい状況になっていたりするのでしょうか。そのあたりの追加情報も河川管理上の重要な知見になるものと思い質問させていただいた次第です。
中央大学 竹村先生
土木研究所の竹崎です.ご質問ありがとうございます。順番に回答致します。
1.河積阻害率5%について:これは構造令で推奨されている「5%以内」を引用したものなので斜角は考慮していない値です.ただし,ご指摘の通り,構造令発令前に建設された河川橋梁の中には,河積阻害率が5%を上回る橋梁が多くみられており,そのような状態で斜角の影響が加わると,河積阻害率が非常に大きくなる場合があります.このような場合に,橋梁周辺の河床変動特性や流況がどのようになるか?の概観を把握することを目的としたものが本論文になります.
2.経年的な河床低下について:河道の二極化が進行しており,1966年から2020年かけて橋梁周辺では最深河床高がおよそ6.0m低下しております.詳細につきましては,昨年の河川技術論文集に掲載されている「猪股広典,小関博司,新保友啓:洪水時に橋脚洗掘被害を受けた近年の被災事例に関する調査報告,河川技術論文集,第29巻,pp.115-120,2023.」のF橋をご覧ください.
ご指摘の通り,被災時出水は中規模の出水でしたが,ピーク流量時に流水が高水敷上に乗るか乗らないか程度の出水規模でしたので,本事例は,低水路満杯程度の出水が橋の洗掘被災にクリティカルに効いた1事例だと考えられます.今後の河川技術発展の一助となれば幸いです.
竹崎様
早速のご回答ありがとうございます。河積阻害率5%の経緯については、構造令からの引用ということで承知しました。また、昨年度の論文を参照し理解がより深まりました。
橋脚の形状を考慮した数値解析も容易に行えるようになってきていますので、実質的な河積阻害率を考慮して安全性の照査や対策の検討などを行うこと、経年的な河道変遷を踏まえて河道管理とも一体的に検討することの重要性がよく分かりました。引き続き、論文を追跡し勉強させていただきます。
竹村