細粒土砂捕捉に配慮した河道内沈砂地の設置の効用と地域に果たした役割

著者

  • 佐々木真/株式会社 北海道水工コンサルタンツ
  • 福留康智/株式会社 西日本科学技術研究所
  • 早坂尚史/北海道オホーツク総合振興局網走建設管理部
  • 阿戸理樹/北海道オホーツク総合振興局網走建設管理部

説明資料

細粒土砂捕捉に配慮した河道内沈砂地の設置の効用と地域に果たした役割” に対して4件のコメントがあります。

  1. 原田 大輔 より:

    土木研究所の原田と申します。効果的な沈砂地を設置された貴重な事例を興味深く拝見しました。いくつか質問がございます。

    ・沈砂地に堆積する土砂量は、藻琴湖に堆積する土砂のおよそ何割程度でしょうか。
    ・細粒土砂が堆積するにはそれなりの日数が必要かと思いますが、一度沈砂地に入った水はどのくらいの期間沈砂地に滞留させるのでしょうか。沈砂地から本川への排水は自然流下でしょうか。
    ・R4年に急に流木が堆積したようですが、何か理由があるのでしょうか。

    1. 佐々木 真 より:

      原田 様
      ご質問ありがとうございます。
      下記にご質問の回答をさせて頂きます。
      ①沈砂地と藻琴湖の堆積量について
      本投稿では沈砂地の堆積量は、2011年から2022年(11年間)の値を掲載しております。その平均値は、土砂量800m3/年で、その内細粒土砂は、520m3/年となります。
      それに対し、藻琴湖の堆積量は、1991年から2011年の深浅測量結果より、4200m3/年と記載しております。
      上記に示した各堆積量からおおよその比較をすると、藻琴湖堆積量の約2割が沈砂地の堆積量になります。
      ただし、各堆積量を算出した期間が異なることと、沈砂地の捕捉土砂量は藻琴湖に流入する土砂量を軽減した量でそのままの土量が藻琴湖の堆積土砂量軽減量では無いことが課題であると考えております。
      当該沈砂地の藻琴湖の細粒土砂堆積に対する効果を評価するためには、河川を通過する土砂量、沈砂地の捕捉量、藻琴湖への流入量、藻琴から海への流出量の関係を明らかにする必要があると考えております。
      現在の河川管理者等の調査資料では、過年度に河川を通過する土砂量の調査は実施しておりますが、藻琴湖から海へ流出する土砂に関しては、潮位の影響等の複雑な状況であるためその動態を把握するには至っていない状況です。
      ②細粒土砂の滞留について
      当該沈砂地は、沈砂地下流に不透過水制を設置しておりますが、本川の排水は自然流下としております。沈砂地内の水位と河川水位は、ほぼ同水位となっているため、土砂の滞留時間は、河川水位の影響を受けていると考えております。これについては、細粒土砂が増大する融雪期の状態と夏期出水の状態で相違があると考えておりますが、現時点では、融雪期と夏期出水時の堆積量の比較はしていない状況です。今後は、ご指摘の点を踏まえ、期別の流況や捕捉土砂量についても着目して行きたいと考えております。
      ③R4の流木堆積について
      R4の流木堆積については、本投稿で記載しているように、1つの融雪期で水制工を閉塞した事例はありませんでした。流木の発生については、融雪期の流量と河岸決壊状況及び背後の森林等からの発生が考えられます。R4の融雪出水は規模が大きいものがありましたので、流量規模が一要因と考えられますが、沈砂地設置後同様の流量が発生していることから、流量以外にも要因があったのではと考えております。現在は、昨年から今年度にかけてドローンによる河岸浸食状況の把握を行うと伴に、林業等の関係機関にも情報提供をお願いしているところです。

  2. 原田 大輔 より:

    ご回答ありがとうございます。現地の状況がよくわかりました。

    低水路の線形をよく見ると、湾曲二次流が発達する箇所で、底面付近の粗い土砂は沈砂地に流入せず、表面付近の細かい土砂が沈砂地に流入するよう、よく工夫されていることが分かりました。その反面、水面付近を漂うゴミや流木も相当程度流入するのではないかと推察します。これらが入り口に詰まってしまうと支障があるので、入口の透過水制の間隔を広げるという選択肢もあるでしょうか。いずれにせよ、長期間管理される中で、様々なことを試された事例を紹介していただき、大変参考になりました。

    1. 佐々木 真 より:

      原田 様
      ご意見ありがとうございます。
      当該沈砂地は、モニタリングを実施すると伴に、透過水制部は状況により改築等が必要と考えておりますので、今後の改築等に上記のご意見も検討事項として考慮させて頂きたいと存じます。
      貴重なご意見ありがとうございました。

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