温暖化を踏まえた新たな流域平均雨量の提案と洪水ピーク流量の関係性に関する考察

大森大喜

正会員 学(工) 大阪工業大学大学院(〒535-8585 大阪市旭区大宮5-16-1)

(現 (株)建設技術研究所大阪本社水システム)

田中耕司

正会員 博(工) 大阪工業大学工学部(〒535-8585 大阪市旭区大宮5-16-1)

(現 大阪工業大学知的財産学部・兵庫県立大学大学院減災復興研究科)


概要

現在の治水計画では過去の降雨資料をもとに確率処理の後,降雨波形を計画規模相当に伸ばし,流出解析によって基本高水流量を決めている.しかし,治水計画で扱われる降雨は計画降雨継続時間内の流域平均雨量を用いており,降雨の時空間分布を厳密に考慮したものとなっていない.そのため,同じ総量となる降雨でも流出解析を介して得られる流量は幅があり,近年の災害を引き起こしてきた計画を超過する洪水に対して,降雨量との関係性を十分に説明することが困難な場合がある.本研究は,一事例として一級河川大和川水系を対象に,治水を目的とした合理的な降雨のサンプリングの検討を行った.従来の流域平均雨量に代わる,洪水到達を考慮した降雨を設定することで,洪水ピーク流量に直接寄与する降雨を扱った.これにより,従来では得られなかった降雨から流量への直接的な応答関係を議論することが可能となり,これまでの治水に潜在化する課題を解決する結果を得ることができた.

温暖化を踏まえた新たな流域平均雨量の提案と洪水ピーク流量の関係性に関する考察” に対して1件のコメントがあります。

  1. 木村 延明 より:

    大変ユニークな着眼点で実施された研究成果との印象を受けました。理解不足で恐縮ですが、スライド6枚目と7枚目の関連性について質問があります。横軸R(空間のみ?)→R’(時空間)に変更した場合に、R’と降雨パターンがほぼ1対1の関係性があると書かれていますが、本研究のように,流出解析モデル(250mメッシュでは、落水線が最終的に1点に集約される)を利用した場合に、起こることなのでしょうか?つまり、分布型流出解析モデルの計算を行う場合に、約1対1の関係性が存在すると考えて良いでしょうか?現実的には、時間変化によって落水線が一意に決まら状況があるように思いますので、R’でも複数の降雨パターンが発生するのではないかと想像しました。理解不足でありましたらすみません。

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