洪水時に橋脚洗掘被害を受けた近年の被災事例に関する調査報告

猪股広典/国立研究開発法人 土木研究所

小関博司/国立研究開発法人 土木研究所

新保友啓/国立研究開発法人 土木研究所

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説明資料

洪水時に橋脚洗掘被害を受けた近年の被災事例に関する調査報告” に対して2件のコメントがあります。

  1. 溝口 敦子 より:

     同様な研究を始めた関係で興味深く見させていただきました.
     本研究では,二極化が起こっている河川の低水路部分に砂州ができ,平水時の水路がより深ほれすることにより洗堀がしやすくなる,または砂州が高水敷化して低水路部分に集中して深掘れが起こり,それにより橋脚洗堀リスクが高まるというシナリオは理解できます.ただ,砂州-水路の動き自体がポイントであり,二極化しているとより洗堀リスクが高まるものの,必ずしも二極化している河道の問題ではない気がしますがいかがでしょうか.6橋中2橋梁はどのような被災形態であったのでしょうか?
     また,今回の現象に対し,橋梁管理者側が行うべき効率的な点検の提案も必要になるだろうと考えていますが,このあたりについてすでにお考えがあればお聞かせください.

    1. 猪股 広典 より:

      溝口先生

       猪股です。回答が遅れて申し訳ありません。

       最初に、6橋中残りの2橋の被災要因について申し上げますと、一つは橋梁の直下流にある床固工が崩壊したことにより橋脚を支持していた河床が流出したものです。もう一つは、水衝部付近に橋脚が位置しており、もともとは洗掘対策として護床工が施工されていたのですが、その護床工が徐々に流出して洗掘抑制効果が不十分となり、最終的に沈下に至ったものと推定しています。この2橋の被災は砂州の移動とは関係ないものと我々は捉えており、それ以外の4例は二極化河道で生じたことから、二極化を強調した説明ぶりにしたというのが実態です。

       橋梁管理者が行うべき点検として、河道横断測量が実施されている区間に架橋されている橋については、まずは河道横断測量結果の入手・根入れの確認が一番最初に実施するべきことと考えています(それすら今は実施されていないと認識しています)。その一方で、横断測量が実施されていない箇所に架橋されている橋梁も数多く存在します。このような橋梁すべてについてALB測量を実施してくれというのは予算的にとても難しいことだと思います。ですので、道路管理者が少ない予算で実施可能な、橋脚の洗掘リスクを把握するための必要最低限の測量とは具体的に何なのかを提示するのが河川技術に求められる仕事ではないのかと考えているところです。

       先生のご質問の意図を完全に汲み切れている自信がありませんが、以上が回答となります。当方、砂州の理論等についてど素人ですので、またご指導頂けるとありがたいです。

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