発電ダムにおける持続可能な土砂管理手法の選択と運用高度化の課題 2023年6月12日 最終更新日時 : 2023年6月14日 奥村 裕史 著者 奥村裕史/電源開発 安藤 悠/電源開発 角 哲也/京都大学防災研究所 説明資料 230612_河川技術シンポPPT
土木研究所の原田と申します。興味深く拝見しました。
特に、スルーシング水位が低いほど排砂効果が高いが、一方で発電効率が低下する点について、実務的に悩ましい点だと感じます。2点質問させてください。
・「開始後のモニタリングにより土砂管理として必要なスルーシング水位を決める」とありますが、これは、出水中の縦断的な水位・河床高の変化を洪水中に計測する、といったことでしょうか。
よろしければ、どのようなモニタリングを行い、それに基づいてどのようにスルーシング水位を決めるか、お考えがあればお聞かせいただければ幸いです。
・今回のような現場こそ、河床変動計算を使えば有効な排砂方法が検討できるように思いますが、計算を用いられる予定はないのでしょうか。
原田さま
質問をありがとうございます。以下に回答をいたします。
モニタリングは、出水期前後の河床位計測であり、出水中の河床位計測は難しいと考えています。出水とダム運用と河床位計測結果から、浸水リスク低減に最適なスルーシング水位や運用時間の最適化をすることを考えています。出水中の計測ができれば、スルーシングの開始と終了の最適化をより綿密に行えると思いますが、現時点ではそこまでを考えておりません。2つ目の質問と関係しますが、チューニングされた再現性の高い河床変動計算モデルならば、出水中の河床位変化を計測することなく把握できると思いました。
河床変動計算によりスルーシング方法の最適化をすることは可能と思います。特にスルーシングの実績データを基にチューニングされた計算モデルであれば信頼性は高いと思います。一方、スルーシングの実績データは方法や方法変更をよく反映しており、整理・分析することにより方法の最適化を容易にしてくれます。こういったことから、つい実績データを重宝しがちになりますが、河床変動計算により綿密な検討(この出水パターンならこの運用、みたいな)ができると思いました。