横断遮蔽物による河床洗掘現象を表現できる実用的数値解析手法の提案” に対して9件のコメントがあります。

  1. 原田 大輔 より:

    長田先生、土木研究所の原田です。興味深く拝見しました。いくつか質問をさせてください。

    ・河床変動が生じた際、3次元モデルの鉛直方向メッシュは都度作成し直すのでしょうか?
    ・横断遮蔽物について、平面二次元解析の中ではどのように扱われているのでしょうか。関連して、横断遮蔽物の赤枠の中にも流速ベクトルが見えているようですが、これはなぜでしょうか。
    ・平面二次元、三次元の接続が複雑であるように思いますが、論文に書かれていること以外で苦労、工夫されている点などもしあれば、教えてください。

    (お手すきの際にご回答いただければ幸いです。)

    1. 長田 健吾 より:

      原田様

      ご質問いただき,ありがとうございます.
      ・河床変動が生じた際、3次元モデルの鉛直方向メッシュは都度作成し直すのでしょうか?
       ⇒そのとおりです.河床形状と水面形状の変化に応じて,鉛直方向メッシュを毎時刻作成するようにしています.

      ・横断遮蔽物について、平面二次元解析の中ではどのように扱われているのでしょうか。関連して、横断遮蔽物の赤枠の中にも流速ベクトルが見えているようですが、これはなぜでしょうか。
       ⇒論文中の図-3をもとに説明すると,3次元解析では鉛直方向の中で横断遮蔽物が存在するメッシュについて流体の体積割合cvが1より小さい値となり,また格子面の透過割合aξも1を下回る数値となります.平面二次元解析の場合は,これら数値を鉛直方向に平均した数値(Cv,Aξ)が式(2)に入ることになります.従って平面二次元解析では,水深方向に均一に遮蔽物があるような計算になりますが,3次元解析で計算される横断遮蔽物による抵抗などの情報が式(2)のG項に反映されるため,そこで補正が掛かると考えて頂ければと思います.また,今回対象とした横断遮蔽物は,写真-1に示すように流木堆積を想定して実験を行っているため,透過型となっています(不透過構造物ではありません).この遮蔽物内の流木存在率は0.4程度であるため,実験でも流体は通過するような状況で,解析においても流速ベクトルが生じる状況となりました.

      ・平面二次元、三次元の接続が複雑であるように思いますが、論文に書かれていること以外で苦労、工夫されている点などもしあれば、教えてください。
       ⇒本計算に関しては,動的な流木解析を行っていないので余り問題にならないですが,流木解析を行う上では,3次元解析の頻度(図-2)と差分時間間隔Δtの設定が解析の効率化・安定化のなかで重要となります.加えて,鉛直方向メッシュ数もこれらと合わせて設定上の重要項目になると思います.

      十分な回答になるか分かりませんが,よろしくお願いいたします.

  2. 原田 大輔 より:

    長田先生

    ご回答いただきありがとうございました。よく理解できました。

    ところで、質問が五月雨式になってしまい申し訳ありませんが、
    今回2件の実験を再現する計算をご発表されていますが、本手法による実河川の流木・河床変動計算は可能な段階でしょうか。それとも、計算コストや安定性の面からまだハードルがあるとお考えでしょうか。そのあたりの感覚をお教えいただければ幸いです。

    1. 長田 健吾 より:

      原田様

      ありがとうございます.
      ここで発表している2件のモデルについては,双方開発途上であり,実用化に向けては論文に記載のように今後追加の検討を行う予定でいます.また,モデルが完成したとして,ご記載のように対象とする範囲・流木規模・期間等によって,計算コストの問題が出てくると思います.氾濫解析の方は赤谷川災害も検討対象としていて,実際に計算を行ってみて,モデルの精度向上と課題を探りたいと考えています.原田さんには,赤谷川の計算の際に,いろいろと伺うことがあるかと思います.
      よろしくお願いいたします.

  3. 後藤 岳久 より:

    長田先生

    中央大学 後藤です.
    移動床解析に用いている水理諸量について教えて下さい.

    お示し頂いている移動床解析では,平面二次元解析の水理諸量を用いられているかと思いますが,せっかく三次元解析をされているのに,移動床解析は平面二次元解析の流速等を用いているのはもったいない気がしますが如何でしょうか?
    または,今後,移動床解析もハイブリット化されるのでしょうか?ご意見頂けますと幸いです.

    1. 柏田 仁 より:

      長田先生,後藤先生

      横から失礼します.
      私も2D-3Dハイブリッド計算法の開発と応用に取り組んでおり,同手法の活用例が増え,かつ,大きく発展していることを大変嬉しく感じております.当研究室でも同手法における河床変動・非静水圧の取扱いについて色々と考えを巡らせているところです.
      ハイブリッド法の肝は2Dのみを対象とするExternal modeでの補正項その他の定常性の仮定だと認識しています.本来的には3D流速分布・底面流速を河床変動計算に用いるべきであり,2D計算時にそれらをどのように与えるかが大きな研究課題と言え,この課題を克服することがハイブリッド手法の大きな飛躍の1st stepになると考えています.
      是非,長田先生のお考えを私も伺いたいと思います.

      1. 長田 健吾 より:

        柏田先生

        コメントを頂き,ありがとうございます.
        二瓶先生のハイブリッドモデル,大に活用させていただいています.流木計算全体の計算負荷を抑えたいという考えの中で,効率的に3次元流れを取得できる手法として有用な解析モデルと感じています.非静水圧モデルも計算負荷の点を考えて,今回簡易なモデルでチャレンジしました.流砂に関しても同様の考えのもと,今回のモデルの適用となっています.氾濫計算への適用も考えていることから,実績ある流砂モデルの適用としましたが,本流砂モデルに関しては,不十分な点があることは取り入れた当初から感じていて,今後,いろいろと試しながら精度アップを図れればと思います.

    2. 長田 健吾 より:

      後藤様

      ご質問いただき,ありがとうございます.
      これに関しては,正直悩みました.水深平均流速である程度表現できたのは,本実験の流れ場が3次元流の中では簡易な条件下であったためと思います(流下方向に1次元的であるため).底面流速を用いて土砂輸送を計算する場合は,土砂の鉛直濃度分布計算と合わせて議論しなければいけないため,これに適する土砂移動モデルの構築には至っていません.今後,いろいろとトライしながら土砂移動計算の精度向上も進めていきたいと思います.

  4. 後藤 岳久 より:

    長田先生

    率直なご回答有難うございます.理解致しました.
    当日も含めて,また議論させて頂ければと思います.

コメントは受け付けていません。