河道内の樹林化予測モデルの開発と予防保全の考え方にもとづく樹木管理への活用方策の検討 ~庄内川を事例として~ 2023年6月6日 最終更新日時 : 2023年6月14日 小田 洋平 著者 小田 洋平/株式会社建設環境研究所 中部支社 宮脇 成生/株式会社建設環境研究所 荒木 隆/株式会社建設環境研究所 葛西 直樹/株式会社建設環境研究所 中部支社 戸田 祐嗣/名古屋大学大学院工学研究科 説明資料 小田洋平_河川技術2023(提出)ダウンロード
河床変動モデルと統計モデルで植生動態を予測されており,新しいアプローチかと思いました.特に,統計モデルに用いられる説明変数が直感的でかつ計測可能な量なので,実装化や他河川への適用にも馴染みが良いかと伺えます.また,植生動態を考慮した流下能力予測や,再繁茂を生じさせない掘削形状の検討に資する重要な手法が提案されていると思いました.
質問;
p.18にあるようにALBの拡充に伴い精度向上が図れると期待されますが,一方で学習データについて,5年に1度の植生図を用いられています.植生情報についてはこれで十分なのでしょうか?精度向上のためには別途洪水後にUAVなどで計測する等は不要でしょうか.
また,統計モデルの説明変数について,砂州の冠水率や砂州内の地下水位(涵養という観点で)は効いてこないでしょうか?
追加です.
本研究は,植生が繁茂することを対象にされていると思いますが,大規模洪水時には逆に植生が流失する状況になるかと思います.植生流失についてもご提案のモデルで予測可能と考えてもよいでしょうか?
貴重なご意見、またご質問ありがとうございます.
植生情報について,河川全域で取得できる植生図としては,現状水国データが有効と考えていますが,大規模出水を考慮した植生調査の頻度として5年頻度が十分であるかは検討余地があると思います.
このため精度向上に向けては,5年間に生じた植生動態(侵入・定着,消長)とそれに影響する説明変数との関係をモニタリング等で更に検証していくことが重要と考えています.この手法として,UAVを用いた平面的な状況把握は有用と考え,参考にしたいと存じます.
次いで,説明変数については冠水率や地下水位も重要な指標と考えます.
冠水率は,今回検討では冠水頻度により代替できるかと考えています.
一方,地下水位(伏流)は砂州形状や位置等に応じて変化すると推察されるため,こういった要素を説明変数にどう取り込むかについては,データの定量化方法を含め今後も検討していきたいと思います.
最後に,本モデルでは河床変動を考慮することで,植生消長も考慮できると考えています.
地形侵食と植生消長は相互に影響すると考えていますので,1つ目のご質問にもありましたとおり,出水後の地形変化と植生動態を検証しながら,モデルを改善していきたいと考えております.
本論文では,モデルの基本的な枠組み(設計)をご提示しており,更に改善できる余地があると考えています.
以上,簡単ではございますが,ご返信いたします.