山地斜面における岩盤内地下水位の年変動と強雨時の表層地下水位との連動特性

著者

  • 小谷隼人/広島大学

説明資料

山地斜面における岩盤内地下水位の年変動と強雨時の表層地下水位との連動特性” に対して5件のコメントがあります。

  1. 竹村 吉晴 より:

    興味深く資料を拝読させて頂きました、素人ですので的が外れていたらすみませんが教えて下さい。
    降雨と地下水位の応答関係を実効降雨を介して関係づけられているものと理解しております。
    実効降雨量の式に観測雨量の時間間隔が考慮されているかと思いますが、地下水位の変化に対してどれくらいの時間間隔の降雨が有効となるのでしょうか(累積値は関係ないのか)?またそれは深度により変わることはないでしょうか?

    1. 小谷 隼人 より:

      竹村様,ご質問いただきありがとうございます.おっしゃる通りで,実効雨量の式を地下水位の応答に関連づけてモデルを構築しています.

      まず,用いた雨量間隔ですが,岩盤内地下水位のデータに関しては10分間雨量を,表層地下水位のデータに関しては10分間雨量から線形補間で作成した1分間雨量を用いることで最適な半減期と遅れ時間の組み合わせを検討しています.

      表層地下水位(集水深さ:0∼1.56m)の観測データは,降雨に対して敏感な反応を示しており,より多くの降雨の影響を捉えるために1分間雨量を使用しました.一方,岩盤内地下水位の観測データは比較的に鈍感な反応を示しており,観測データの波形の緩やかさからも降雨が長期的な影響を持っていると考えられ,岩盤内地下水位への降雨の影響をより適切に評価するために10分間雨量を使用しました.

      もう少し原理的なところ立ち入った話をすると,実効雨量の意味は式(1)の形からわかるように,重みが時間とともに減衰する時間の移動平均のようなものです.累積雨量は,重みを1にして積分間隔を一定にしたものですので平均の仕方の問題と理解できます.遅れがない場合,式(1)は微分方程式dD/dt=R-bD (b=long2/T)をΔtで積分したものです.なので,用いる雨量の時間間隔は微分方程式の時間ステップのようなものになり,半減期が長いときは小さいΔtで計算する意味がなくなります,ただし,長い半減期の実効雨量も立ち上がりの波形が鋭いままであるところにΔt依存性があります.これについては遅れがある場合は入力のRそのものも瞬間の波形よりも遅れ時間スケールで平均したほうが地下浸透過程の物理過程に近いのでそれを考慮する形にできないかを検討しているところです.

  2. 竹村 吉晴 より:

    ご返信頂いていただにも関わらず返信できずにすみません。
    昨日の質疑で式(1)の物理的な意味だいぶクリアに理解できた気がします。右辺第一項が降った雨がその地点に時間遅れを持って到達する分で第二項が周囲に抜けていく分を表すということですね。地下の現象は目に見えませんし観測も容易でないので難しいとは思いますが、式(1)の妥当性については今後検証を進めていく予定はあるのでしょうか?

    1. 小谷 隼人 より:

      竹村先生,
      追加質問ありがとうございます.おっしゃる通りで、逓減係数αにより帯水層から水が移動していく量を表現していることになります。観測水位における実効雨量での表現における妥当性については、今後も観測を続け比較検討していこうと考えています。式を見てわかるように流入と流出をもっとも単純に表した一段タンクモデルであり係数などの値から現象を理解することが重要になると思っています.具体的には山地からの斜面流出流量も連続計測を始めているため,第二項との関係や岩盤地下水量などの検討をする予定です.

  3. 竹村 吉晴 より:

    ご丁寧に回答頂きましてありがとうございます。
    今後の研究楽しみにしております。

コメントは受け付けていません。