ご意見・ご質問はコメントにてお願いいたします.
霞堤のメリットとして、みなさんがご指摘になったもの(遊水効果、氾濫水の排除)以外では、宮崎県北川では、堤防越水時の堤防決壊を防ぐ(堤防越水時には堤内地側が湛水しているのでウォータークッション効果で洗堀されにくくなり堤防決壊を防ぐことができる)というものがありました。北川ではそのような説明をして霞堤存置について地元のご理解を得たことがあります。
池内先生,実例に基づいた貴重なコメントありがとうございました.様々な機能を現在の解析技術も活用して評価,検討していくことが重要と思います.
2つ質問があります。 どなたでも結構ですので回答をよろしくお願いします。
質問-1:浸水域の時代的変化について 以前に最大であった1965年出水と、2020年出水における浸水域を比較すると、1965年出水では上流氾濫原で浸水域が広く、2020年出水ではほとんどありません。この差をどのように解釈すればよいでしょうか。因みに1965年の12時間雨量は2020年の約半分、人吉地点の氾濫戻し最大流量は約70%で、1965年の出水の方が明らかに小規模でした。
質問-2:不利益配分の解釈について 上記の変化の原因が上流域における圃場整備や築堤による排水能力増大だとすると、上流域は1965年以降に大きな「利益配分」を受けており、2020年には、その付けが下流の人吉に「不利益」をもたらしたと考えられないでしょうか。OS-1の議論では、上流域での田んぼダムへの改良が「不利益配分」であるかのように言われました。しかし以上の観点からすると“過去に得た「過大な利益配分の部分的返納」であり、不利益配分とは言えない"のではないでしょうか。
石川先生, ご質問ありがとうございます.私がこれらの問題について詳しいわけではございませんが,オーガナイザーとして,OSの議論(特にOS1)から学んだことで回答をしたいと思います. 質問-1はまさに流域治水のポイントとなる点で,OS1の議論では洪水時の流域の水収支を評価することが重要とされました.このためには,豪雨時の洪水流出,洪水流,河道・流域貯留,浸透・蒸発散などを適切に評価できる解析技術を開発し,その妥当性を評価できるような観測も行っていくことが必要になります.また,豪雨時と合わせて通常時の水循環も考えることが流域の持続可能な開発に有用です.これらの評価技術は十分とは言えないところもあるため,研究,技術の発展に繋げていくことが重要となると議論されました. 質問-2については,洪水現象は複合現象であるため最初の仮定がどの程度寄与するのかを定量評価するところからが重要でこれについては質問-1の回答の通りです.不利益配分については,OS1での議論では,そのようなという面(見方)はあるが流域治水を進めるうえでは利益の面に着目する必要があることから発生したと考えています.石川先生のご意見は,時間軸を考慮に入れた不利益配分で説明すれば納得して流域治水が進むということでしょうか?河川事業を評価するための理解のために時間軸を入れるというのであれば理解できます.配分が時空間的に分布するということは河川事業がもたらす影響の空間的大きさ,時間的長さからして考えなくてはいけない点と思いました.これらを評価する新しい技術としてやはり質問-1の回答のようなことになるのだと思います.青山士の言葉ではないですが,河川事業はその時点以降,流域を時空間的にどのように切ってもできる限り良くなること目指していくことが大事と思います.大変難しい問題と思いますがこの視点でも技術,研究を発展させていくことが求められると考えます.時間的な視点の提示ありがとうございました.
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霞堤のメリットとして、みなさんがご指摘になったもの(遊水効果、氾濫水の排除)以外では、宮崎県北川では、堤防越水時の堤防決壊を防ぐ(堤防越水時には堤内地側が湛水しているのでウォータークッション効果で洗堀されにくくなり堤防決壊を防ぐことができる)というものがありました。北川ではそのような説明をして霞堤存置について地元のご理解を得たことがあります。
池内先生,実例に基づいた貴重なコメントありがとうございました.様々な機能を現在の解析技術も活用して評価,検討していくことが重要と思います.
2つ質問があります。
どなたでも結構ですので回答をよろしくお願いします。
質問-1:浸水域の時代的変化について
以前に最大であった1965年出水と、2020年出水における浸水域を比較すると、1965年出水では上流氾濫原で浸水域が広く、2020年出水ではほとんどありません。この差をどのように解釈すればよいでしょうか。因みに1965年の12時間雨量は2020年の約半分、人吉地点の氾濫戻し最大流量は約70%で、1965年の出水の方が明らかに小規模でした。
質問-2:不利益配分の解釈について
上記の変化の原因が上流域における圃場整備や築堤による排水能力増大だとすると、上流域は1965年以降に大きな「利益配分」を受けており、2020年には、その付けが下流の人吉に「不利益」をもたらしたと考えられないでしょうか。OS-1の議論では、上流域での田んぼダムへの改良が「不利益配分」であるかのように言われました。しかし以上の観点からすると“過去に得た「過大な利益配分の部分的返納」であり、不利益配分とは言えない"のではないでしょうか。
石川先生,
ご質問ありがとうございます.私がこれらの問題について詳しいわけではございませんが,オーガナイザーとして,OSの議論(特にOS1)から学んだことで回答をしたいと思います.
質問-1はまさに流域治水のポイントとなる点で,OS1の議論では洪水時の流域の水収支を評価することが重要とされました.このためには,豪雨時の洪水流出,洪水流,河道・流域貯留,浸透・蒸発散などを適切に評価できる解析技術を開発し,その妥当性を評価できるような観測も行っていくことが必要になります.また,豪雨時と合わせて通常時の水循環も考えることが流域の持続可能な開発に有用です.これらの評価技術は十分とは言えないところもあるため,研究,技術の発展に繋げていくことが重要となると議論されました.
質問-2については,洪水現象は複合現象であるため最初の仮定がどの程度寄与するのかを定量評価するところからが重要でこれについては質問-1の回答の通りです.不利益配分については,OS1での議論では,そのようなという面(見方)はあるが流域治水を進めるうえでは利益の面に着目する必要があることから発生したと考えています.石川先生のご意見は,時間軸を考慮に入れた不利益配分で説明すれば納得して流域治水が進むということでしょうか?河川事業を評価するための理解のために時間軸を入れるというのであれば理解できます.配分が時空間的に分布するということは河川事業がもたらす影響の空間的大きさ,時間的長さからして考えなくてはいけない点と思いました.これらを評価する新しい技術としてやはり質問-1の回答のようなことになるのだと思います.青山士の言葉ではないですが,河川事業はその時点以降,流域を時空間的にどのように切ってもできる限り良くなること目指していくことが大事と思います.大変難しい問題と思いますがこの視点でも技術,研究を発展させていくことが求められると考えます.時間的な視点の提示ありがとうございました.