The symposium about river engineering, 2022

多量の土砂・流木を含む洪水流の解析法

コメント (8)
  1. 太田 一行 より:

    大変興味深い研究発表、ありがとうございます。
    2点質問がございます。
    1.解析では流木が濃度として表されていると存じますが、流木が橋梁に捕捉された場合等での水位上昇も計算可能なのでしょうか(または将来的には可能になりそうでしょうか)
    2.細かい点で恐縮ですが、計算格子を作成するとき、流木についても何か考慮する必要があるのでしょうか。場合によっては計算格子が流木より小さくなるもあると思い、この場合でも特に支障ないのかと思った次第です。
    どうぞよろしくお願いいたします。

  2. 原田 大輔 (土木研究所) より:

    ご質問ありがとうございます。

    1.について、
    今回の解析では、橋梁に流木が捕捉された場合、その分の流水断面積を減少させています。そのことで、分かりづらいかもしれませんが、水位の縦断図を見ると、橋梁部分の上流で水位上昇していることがお分かりいただけるかもしれません。

    2.について、
    今回の研究で、流木は中立粒子として濃度の形で扱っており、簡単に言えば浮遊砂の計算と同じように扱っています。ご指摘の点は重要で、平面二次元解析では格子サイズは5m×5mとしており、流木のほうが大きいのですが、移流拡散方程式を解いているため問題ありません。このように、ラグランジュ的に一本ずつ解く方法に比べて扱いが容易なのが本解析法の良い点ですが、ご指摘のように橋梁への流木捕捉などをどこまで正確に表現できるかは、今後の課題と考えています。

    1. 太田 一行(電中研) より:

      電中研の太田と申します(名乗らずに質問しており,失礼しました).
      ご回答くださり,ありがとうございました.

      ラグランジュ的に解く場合は個々の流木を解きますが,
      オイラー的に扱えば,小さい葉・枝を含めた様々なサイズの流木群を解ける利点もあるものと思いました.今後とも参考にさせて頂きます.

  3. 木下 篤彦 より:

    昨年度まで和歌山県那智勝浦町に勤務していて、平成23年の那智川での橋梁付近での流木による閉塞・河床上昇・氾濫計算に苦労したもののあまり良い成果が出ませんでした(橋のところに無理やり仮想の壁を立てて計算していました。)。今回の計算手法ですと、例えば、流木による閉塞→掃流砂のせき止めによる河床上昇→氾濫の発生、みたいな現象もうまく再現できるのでしょうか。

    1. 原田 大輔 (土木研究所) より:

      ご質問ありがとうございます。今回の手法は、まさにご質問いただいたような現象を解析するために提案しているものです。流木を浮遊砂と同様に扱うため、容易に解析ができます。1つの課題としては、橋梁に到達した流木がどのくらいの割合で橋梁に捕捉されるか、という点を検討する必要があります。今回は、橋に到達した流木は、桁下高1m以下となれば全量を橋に捕捉させ、その分の流水断面積が減少するようにして、解析しています。

  4. 後藤 岳久 より:

    中央大学 後藤です.
    ご発表有難うございます.興味深く拝見させて頂きました.
    2点教えて下さい.
    河床の上昇と堆積と流木の貯留・流出を関係付けられているとのことですが,提案された方程式において,河床上昇時と河床低下時で場合分けされているのは,具体的にどういう現象を表現されているのでしょうか?
    また,流木の移流拡散方程式について,「流木の拡散」とは,どういった現象を表しているのでしょうか?移流のみの定式化では,問題がありますでしょうか?
    流木現象については,良く分かっておりませんので,是非お教え頂ければと思います.

    1. 原田 大輔 (土木研究所) より:

      後藤先生、ご質問ありがとうございます。

      1.河床上昇時と河床低下時で分けているのは、河床上昇時に流木が堆積し、河床低下時には流木が水中に取り込まれるという考え方に基づいており、それぞれの機構が異なると考えているためです。例えば、河床低下時でも水深が浅ければ流木の水中への取り込みは起こらず、流木の直径と水深の関係によって異なると考えます。逆に、堆積は水深が浅くても生じます。

      2.流木の拡散について、今回、流木を中立粒子として扱っているため、浮遊砂と同様に拡散現象を考えています。例えば、非常に高濃度(例えば流木100本)の流木の塊が流下方向に流れてきたとして、横断方向の流れがなくとも、拡散項があることで流木が横断方向に拡散します。(伝わりにくいですね・・) 実際の計算上は、拡散項の効果はあまり大きくありません。

      1. 後藤 岳久 より:

        早速ご回答頂き有難うございます.
        1.河床上昇時には流木が堆積,低下時に水中に取り込まれるという機構を考えていること,承知しました.
        2.浮遊砂の計算と同様に,RANSモデルですと,横断方向の乱れによる輸送成分が直接表現されない分を水平拡散で考慮しているとうことですね.理解しました.
        ご回答有難うございました.