The symposium about river engineering, 2022

確率限界法検定を導入した極値降雨量時系列の非定常性評価

著者

児玉 武史1,清水 啓太2,山田 朋人3

1.北海道大学 工学部環境社会工学科 国土政策学コース,2.北海道大学 研究員 大学院工学研究院,3.北海道大学 教授 大学院工学研究院

説明資料

コメント (8)
  1. 呉 修一 より:

    児玉様、貴重な研究成果のご発表をありがとうございます。力学的予測と統計的予測の統合、確率限界法検定の定常・非定常評価への導入など、一連の研究成果、興味深く拝見させて頂きました。
    以下、1点だけ、ご教示頂きたいです。北海道と東北地方で非定常性が顕在化しているとのことですが、これの理由に関して過去の研究などから知見があればご教示ください。台風経路の変化かな?と思ったりもするのですが、考察があればご教示ください。どうぞよろしくお願いします。
    呉修一 富山県立大学

  2. 清水 啓太 より:

    呉先生

    ご質問ありがとうございます.
    児玉さんに代わりまして,共著者の清水が回答させていただきます

    北海道では,十勝川帯広基準地点流域など,昭和56年の豪雨によって,非定常性が強い方向へと推移する流域があります.当該豪雨等の事例では,前線・台風に起因するものですが,要するに,それまで観測記録を大幅に超過する大雨が降ると,その後は,(p値として表している)非定常性の強度が強まる方向へと時間軸上で推移していくことが見受けられました.(大規模豪雨に着目して非定常性を検出する点でも,確率限界法を採用することの利点があると考えております.)

    したがって,”北海道と東北地方で非定常性が顕在化していると言及した要因”としては,すべての要因として挙げるわけではありませんが,「大規模豪雨(北海道での昭和56年豪雨の事例等)によって,高い非定常性が検出された」というものを回答させていただきたいと思います.

    また,そのような非定常性の顕在化の契機となるような,豪雨イベントに関しては,物理的要因を特定し,さらにその要因を気候変動予測結果と照合した際,将来どのような傾向となるのかという点を精査していくことが重要と考えております.

    1. 呉 修一 より:

      清水様、ご丁寧にありがとうございます。はい、引き続きのご活躍、期待させて頂いています。

      1. 清水 啓太 より:

        呉先生

        ご返信いただきまして,ありがとうございます.
        どうぞよろしくお願いいたします.

        清水

  3. 樋口 義仁 より:

    大変興味深い研究成果の発表ありがとうございます。確率限界法検定の理論については知識がなったもので大変勉強にもなりました。

    一点質問がございます。
    スライド14にのせている非定常性の評価について、地方で注目すると北海道や
    東北で非定常の強度の強さがよくわかりました。
    一方で見方によれば比較的内陸に位置する場所で非定常の強度の強さが顕著に見えますが、
    何かしらの原因を考察されていればお教えください。
    (呉先生とのディスカッションに記載のように前線や台風の影響が強いのですかね?もしくは、過去の研究で内陸部での雷が発生数が多い傾向を示していたのでその影響なども?)

    どうぞよろしくお願いいたします。

    株式会社J-POWERビジネスサービス 樋口

    1. 清水 啓太 より:

      樋口 様

      ご質問ありがとうございます.
      現状は,非定常性が検出される事例としては,
      (1)過去の記録を大幅に上回る豪雨の発生(確率紙上で,上部のデータが仮定した母集団分布から右側に外れる場合)
      (2)分布の中央部付近が,時間経過に伴い仮定した母集団分布から外れる事例.(時系列の平均的な値が非定常性へと推移する事例)
      を発表の中で言及いたしました.

      ご指摘にある内陸での非定常性の要因についても,概ね上記の2パターンが関連するかと思いますが,個別の地方別での要因特定をより精緻に行いたいと,ご質問を受け考えるに至りました.

      内陸部での年最大降雨量時系列と,p値の時系列に着目し,どのような豪雨イベントがp値の低下を引き起こしているか,その豪雨イベントの要因はどのようなものか,影響をうけた流域は複数あるか等,複数の観点から,”地方別での非定常性の要因の特定”を進めていきたいと考えております.

      清水

      1. 樋口 義仁 より:

        清水様

        ご丁寧な回答いただきありがとうございます。
        大変勉強になりました。
        引き続きご活躍心より応援しております。

        樋口

        1. 清水 啓太 より:

          樋口 様

          ご返信ありがとうございます.
          ご指摘いただいた点は,今後の研究で精査していきたいと思います.
          この度は今後の展開につながるご意見をいただきまして,ありがとうございました.

          どうぞよろしくお願いいたします.

          清水