The symposium about river engineering, 2022

機械学習を用いた氾濫域推定モデルの地域間比較に関する研究

著者

菅原 巧1,三谷 泰浩2,谷口 寿俊3,本田 博之4,堀 真輝也1,岩本 みさ1,佐藤 辰郎5

1.九州大学大学院 工学府土木工学専攻,2.九州大学大学院 工学研究院附属アジア防災研究センター 教授,3.九州大学大学院 工学研究院附属アジア防災研究センター 特任准教授,4.九州大学大学院 工学研究院附属アジア防災研究センター 助教,5.九州産業大学 建築都市工学部 准教授

説明資料

コメント (11)
  1. 呉 修一 より:

    大変貴重な研究成果をありがとうございます。本手法を用いることでリアルタイムでの洪水氾濫の可視化が達成でき、大変有益と感じました。一つご教示頂きたいのですが、本予測では氾濫流量を入力として使用されるものと理解しました。この氾濫流量は各河川で用意されたものを使用するのですが、出水規模・破堤状況に応じてかなり異なってくるのかなと感じました。本件に関しては、大きめの氾濫流量を設定することで、浸水域を広めに予測していく、という理解で大丈夫でしょうか?この点に関してご教示願います。 富山県立大学 呉修一

    1. 菅原 巧 より:

      富山県立大学 呉様
      ご質問ありがとうございます。
      本稿では、地域間で作成される氾濫推定モデルの比較に主眼を置いているため、事前に用意した流量パターンを1つのみとなっています。しかし、本稿では触れていませんが、機械学習に用いる学習データに複数の流量パターンを事前に準備し、学習させることで、推定時に入力する出水規模に応じた洪水氾濫の推定結果を出力できることは確認しております。

      1. 呉 修一 より:

        菅原様
        ご丁寧に返信をありがとうございます。複数流量パターンでの学習で対応可能とのこと、承知いたしました。明日のセッションでも色々とご教示願います。
        富山県立大学 呉修一

  2. 鈴木 一輝 より:

    貴重なご発表ありがとうございます.学習項目のうち,外力に相当するのは,流量のみと思いますが,その点について,2点お教えいただきたく.累積流量のグラフをみますと,流量の時間的な変動があまりない(一様な流量でから徐々に変化する)ように見受けられますが,発表資料のほかにも流量時系列様々なものを学習させているのでしょうか?
    また,降雨イベントの途中での結果出力することは可能なものでしょうか?結果を出力する場合には,イベント終了時までの流量を入力しないといけないのでしょうか?

    1. 菅原 巧 より:

      鈴木様
      ご質問ありがとうございます。
      1点目につきましては、本稿では事前に用意した流量パターンを1つのみとなっています。しかし、現状では、8パターンの流量を事前に準備し、機械学習に学習させた結果では、推定時に入力する出水規模に応じた洪水氾濫の推定結果を出力できることは確認しております。
      2点目に関しては、破堤開始からイベント途中までの累積流量、時間を推定時に入力することで、推定を行いたい任意の時間での出力が可能です。

  3. 荒木 健 より:

    ①未学習地域への適用性の検討について、とても勉強になりました。
    利根川を学習させて荒川を推論していますが、逆のパターンも検討されていますでしょうか。
    学習対象(利根川)より推論対象(荒川)の氾濫流量が大きいことが精度低下に影響があるのかなと思いました。
    ②傾斜方向のような、周囲のセルとの関係性を表す情報(流れの方向を決めるような情報)は使っていますでしょうか。推定結果で飛び地の浸水箇所が出る要因が何か気になりました。(機械学習とは別に後処理すれば問題にならないかもしれないとは思います。)
    日本工営荒木

    1. 菅原 巧 より:

      日本工営 荒木様
      貴重なご意見ありがとうございます。
      ① 逆のパターンである荒川を学習し,利根川を予測した場合では,学習した氾濫流量が大きく,予測する河川の氾濫流量が小さくなるため,浸水範囲はかなり過小に推定されるようになりました。そのため,今後複数河川において適用可能なモデルを構築するには,流域面積や河道幅(断面)なども考慮した変数の与え方をしなければならないと考えております。
      ② 現状では周囲のセルとの位置関係を表す指標はなく,すべて破堤点との位置関係とその地点の標高などから推定を行うようになっています。そのため,ご指摘いただいたように飛び地での浸水が発生する要因の一つとなっております.

      1. 荒木 健 より:

        菅原様
        ご回答ありがとうございました。他の方々の質問に対する補足回答、昨年度の論文とも併せて非常に勉強になりました。
        学習データがない箇所への適用、また今後の未経験事例への摘要にあたって、単に学習データ量を増やすというアプローチではなく、モデルの解釈性に着目していくのは重要だと思いました。
        今後のご研究にも期待しております。
        日本工営荒木

  4. 一言 正之 より:

    菅原さま
    日本工営の一言です。限られた地形指標などの組み合わせから氾濫域を上手く推定できており、非常に興味深く拝見しました。
    さて計算時間についてご質問です。計算が速いことが本手法の強みだと思いますが、ご検討されたエリアでは、不定流解析・ランダムフォレストでそれぞれ推定にかかる時間はどの程度だったでしょうか。

    1. 菅原 巧 より:

      日本工営 一言様
      ご質問ありがとうございます。
       推定対象エリアにもよりますが,今回の不定流解析は50mとメッシュサイズも荒く,建物などを考慮していないかなり簡易的なものとなっているため,解析自体は6時間先までの1時間間隔で出力とした場合でも1分前後で終了していました。
       ランダムフォレストでは,構築済みのモデルを用いて推定だけ行った場合では6時間先まで,1時間間隔で推定を行った場合は各時間1~2秒で結果が出力されておりました。

      1. 一言 正之 より:

        菅原さま、どうもありがとうございます。