吉武 央気1,浜口 憲一郎1,旭 一岳2,土倉 泰3,奥山 和彦4,霞 真一4
1.パシフィックコンサルタンツ株式会社,2.株式会社RiverLink,3.前橋工科大学 工学部社会環境工学科 教授,4.群馬県 県土整備部
吉武さん、土木研究所の原田です。発表内容を興味深く拝見しました。岩盤の扱いは、簡単ではなさそうですね。 EがU*の3乗に比例する式は、実験室では正しいと思いますが、実際のフィールドでは深さ方向に岩の硬さが一定とは限らないため、慎重に検討されたほうが良いのではないでしょうか。2列目のデータ(E-u*の関係)を見ても、ある程度(u*=0.15 m/s程度)までは関係が成立していますが、それ以上、例えばu*=0.2 m/s程度になれば、極端に侵食量を大きく評価してしまうと思います。そのため、計算ではu*が大きい箇所で深掘れが発生し、V字谷が形成されたのではないでしょうか。 例えば、現地ではu*がある程度以上大きければ、軟らかい岩は既に概ね侵食されてしまい、硬い岩が露出して、それ以上掘れにくくなっている、といったことはないでしょうか。
ちなみに、計算では「上流端から砂礫を供給した」とありますが、どのような条件で供給されているのか、よろしければ教えてください。
原田さん、ご無沙汰しています。コメントを頂き、有難うございます。以下、コメントに対して返答いたします。 ・摩擦速度と侵食量の関係は、岩の硬さ(≒岩質と考えています)によって変化すると想定されるため、深さ方向に一定でない可能性があります。ただ、今回フィールドとした碓氷川碓氷大橋の河道では、碓氷大橋施工時(40年前)のボーリング調査結果より岩質が鉛直方向に変わらないことを確認しています。なお、実際現場で本モデルを適用する際には、岩質の空間分布を踏まえて設定することが望まれますが、岩質の空間分布を把握するのは困難であるため課題と認識しています。 ・摩擦速度と侵食量の関係は、本研究でこのような成果を得ましたが、まだまだデータが少ないため、今後調査研究を行ってデータを増やすことが必要と思います。侵食量は、摩擦速度がある値以上だと別の相関、もしくは上限があるような関係等があるのではないかと考えています。 ・計算では、まずU字谷の検証計算で摩擦速度と岩侵食量、スレーキングによる侵食量を評価しています。そこで再現性が得られた摩擦速度と岩侵食量の関係を用いて、スレーキングなしの計算を行ってみたら、V字谷が計算されたということです。スレーキングが生じない場合は、侵食量を大きく評価したとしてもしなかったとしてもV字谷が生じるような計算アルゴリズムとなっています。 ・原田さんコメントの「例えば」は、岩質の空間分布によっては生じ得ますね。なお、開発したモデルは、平面的に岩質を考慮できるようにしているのですが、鉛直方向には変更できませんので、そのような場の計算の際にはモデル改良が必要となります。 ・上流端からの砂礫供給は、平衡給砂×10%で設定しました。ここは、設定条件が非常に難しいと思いながら仮設定しています。対象河川は、上流ダムや砂防施設等の影響で生産土砂が減少しています。また、現在流路部の30%程度が露岩しており、洪水前後の現地を観察しても平衡量の砂礫が十分に流れているとは到底思えません。よって、平衡より低めで設定してみました。生産土砂が減少している河床低下領域の上流端給砂条件の設定は、今後の検討課題と認識しています。
吉武様、土木研究所の小関です。私も土砂供給に関連して、質問があります。 供給量が少ない場合、土砂は露岩を侵食し、多い場合は土砂が堆積して露岩を保護し侵食が止まるかと想像しています。もし露岩が保護される条件で計算されていたら、どの程度の供給量(総量○m3、河道の平衡掃流砂量の倍半分など)であったか教えていただけないでしょうか。
小関さん、ご無沙汰しています。コメントを頂き、有難うございます。小関さんのご想像の通りですね。まだ、そのような計算はしていませんが、今後計算で評価したいと思っています。一度、河床が露岩して、粗度係数や限界無次元掃流力が低下してしまった河川に対して、河床が砂礫で覆われ、河床が回復するのには、どの程度の土砂が供給が必要かを確認したいと思います。
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吉武さん、土木研究所の原田です。発表内容を興味深く拝見しました。岩盤の扱いは、簡単ではなさそうですね。
EがU*の3乗に比例する式は、実験室では正しいと思いますが、実際のフィールドでは深さ方向に岩の硬さが一定とは限らないため、慎重に検討されたほうが良いのではないでしょうか。2列目のデータ(E-u*の関係)を見ても、ある程度(u*=0.15 m/s程度)までは関係が成立していますが、それ以上、例えばu*=0.2 m/s程度になれば、極端に侵食量を大きく評価してしまうと思います。そのため、計算ではu*が大きい箇所で深掘れが発生し、V字谷が形成されたのではないでしょうか。
例えば、現地ではu*がある程度以上大きければ、軟らかい岩は既に概ね侵食されてしまい、硬い岩が露出して、それ以上掘れにくくなっている、といったことはないでしょうか。
ちなみに、計算では「上流端から砂礫を供給した」とありますが、どのような条件で供給されているのか、よろしければ教えてください。
原田さん、ご無沙汰しています。コメントを頂き、有難うございます。以下、コメントに対して返答いたします。
・摩擦速度と侵食量の関係は、岩の硬さ(≒岩質と考えています)によって変化すると想定されるため、深さ方向に一定でない可能性があります。ただ、今回フィールドとした碓氷川碓氷大橋の河道では、碓氷大橋施工時(40年前)のボーリング調査結果より岩質が鉛直方向に変わらないことを確認しています。なお、実際現場で本モデルを適用する際には、岩質の空間分布を踏まえて設定することが望まれますが、岩質の空間分布を把握するのは困難であるため課題と認識しています。
・摩擦速度と侵食量の関係は、本研究でこのような成果を得ましたが、まだまだデータが少ないため、今後調査研究を行ってデータを増やすことが必要と思います。侵食量は、摩擦速度がある値以上だと別の相関、もしくは上限があるような関係等があるのではないかと考えています。
・計算では、まずU字谷の検証計算で摩擦速度と岩侵食量、スレーキングによる侵食量を評価しています。そこで再現性が得られた摩擦速度と岩侵食量の関係を用いて、スレーキングなしの計算を行ってみたら、V字谷が計算されたということです。スレーキングが生じない場合は、侵食量を大きく評価したとしてもしなかったとしてもV字谷が生じるような計算アルゴリズムとなっています。
・原田さんコメントの「例えば」は、岩質の空間分布によっては生じ得ますね。なお、開発したモデルは、平面的に岩質を考慮できるようにしているのですが、鉛直方向には変更できませんので、そのような場の計算の際にはモデル改良が必要となります。
・上流端からの砂礫供給は、平衡給砂×10%で設定しました。ここは、設定条件が非常に難しいと思いながら仮設定しています。対象河川は、上流ダムや砂防施設等の影響で生産土砂が減少しています。また、現在流路部の30%程度が露岩しており、洪水前後の現地を観察しても平衡量の砂礫が十分に流れているとは到底思えません。よって、平衡より低めで設定してみました。生産土砂が減少している河床低下領域の上流端給砂条件の設定は、今後の検討課題と認識しています。
吉武様、土木研究所の小関です。私も土砂供給に関連して、質問があります。
供給量が少ない場合、土砂は露岩を侵食し、多い場合は土砂が堆積して露岩を保護し侵食が止まるかと想像しています。もし露岩が保護される条件で計算されていたら、どの程度の供給量(総量○m3、河道の平衡掃流砂量の倍半分など)であったか教えていただけないでしょうか。
小関さん、ご無沙汰しています。コメントを頂き、有難うございます。小関さんのご想像の通りですね。まだ、そのような計算はしていませんが、今後計算で評価したいと思っています。一度、河床が露岩して、粗度係数や限界無次元掃流力が低下してしまった河川に対して、河床が砂礫で覆われ、河床が回復するのには、どの程度の土砂が供給が必要かを確認したいと思います。