OS3の質問・意見等はこちらのコメントに記載してください.
OSをオンラインで視聴中の皆様(コンサルタントや河川管理者のみなさま),意見,質問,異論,賛同,議論の材料となるインプットをぜひお願いします.
もちろん研究者の方々からも大歓迎です
治水と環境の両面を考慮した河道計画を策定する上で、河道掘削を行った場合の河床変動の予測(平面2次元)が重要だと思いますが、現在どの程度の精度で予測可能なのでしょうか。 (治水上必要とされる精度と環境上必要とされる精度も異なるかと思います。)
河道というローカルな場を考える上で、局所にとどまることなく、流域や数十年程度の時間スケールを考えることが重要だと理解しました。河川のそれぞれの場における状況が違う(例えば、礫河川、砂河川で移動性がかなり異なるし、大河川と中小河川でも状況が違う)中で、統一的な「河道設計法」のようなものを現代において作る意味がどこまであるのかとも感じます。少し欠けていると感じますのは、それぞれの河川で、流域から流出する土砂の量・質はこの程度であり、それに対応する粒度分布があり、それぞれのインパクト・レスポンス関係がある。そういった中で、特に中小河川の河道設計は単調で、考え方が十分でないように感じています。
土砂レジームが中長期的な河床形態や河床環境に与える影響,掘削後に再堆積する土砂の粒度分布はおそらく移動性が高い細かいものからやってくるであろうことなど,考慮すべき事項はいくらでもあると思います. そういった感覚を,河道管理に関わる河川技術者の共通認識に高めることが大事で,一部の人間だけが分かっていれば良いというものでもないと思います. とくに河川管理者が事務仕事が多忙であまり現場を見られていないことは,河道で起こっている経年的な変化,出水前後の変化,河川間の比較…といった感覚をもたないまま計画業務にあたっている中堅若手も多く,河道の見方,流域の見方についての普及啓発と人材育成を並行して進めなくてはならないと思います. (中部地方整備局では,治水と環境を包括した河道の見方,みたいな研修にも一部取り組みはじめておられます)
河道計画検討の手引きのように,現場への影響力が大きい基準に,河道の見方,流域の見方といった知見が実装されていくと良いな,と個人的には思っておりますところです.
ご返信ありがとうございます。旧来の「河道断面はこうだ」といったものを想像していたので、それなら無い方が良いと思っていたものです。まさに原田先生がおっしゃるような、流域の見方といった時空間スケールの大きい観点と「河道」というローカルな視点が統合的に理解され、そういったものが「河道計画検討の手引き」のようなものに実装されていくことが大変重要だと思っています。
上記は言葉足らずでしたが、「これを読めば自動的に河道設計ができる」ような思考停止マニュアルではなく、河道設計をする人が学び、現場を見、考え悩むことのできる河道設計法が必要だと思っています。そのために、原田先生がおっしゃるような、流域の観点、経年変化、流域比較は根本的に重要で、そういった基本的な理解と最新の数値解析や計測技術が融合した河道設計法が、本当に必要とされていると感じます。またいろいろと教えてください。
個別箇所のデータ集積や、要素的な解析技術開発は進んでいるのだと思います。しかしながら大変失礼ですが、20年前に土研で治水と環境という観点で研究に関わっていた頃の議論と比較して、10年1日の感がありました。国土強靭化で、河川改修が進む中、いくつかの現場で、予測や観測を徹底的に実施して、知見を高めることが必要ではないかと感じます。偉そうなことを申し上げてすみません。
(以下,個人的意見です) 同感です.この10年間は,とりわけ平成30年西日本豪雨以降は,河川環境への現場での取り組みという面ではむしろ退歩した側面もあるのではないかとさえ思われます.一方で,伐採・掘削がずんずん進む中で,河川環境へのインパクトを何とかしたいと思っておられる技術者の方々も多くおられますので,「伐採・掘削後に川がどうなるのか?」という検討は,マストである,というくらいにしていただかないといけないと思います.
>国土強靭化で、河川改修が進む中、いくつかの現場で、予測や観測を徹底的に実施して、知見を高めることが必要ではないか おっしゃるとおりかと思います.
国土強靭化以前の議論としまして,公表されている河川整備計画を拝読しますと,流域や河川や地域の特性を踏まえて河川環境への取り組みが良く検討されている整備計画と,「ただ洪水を流すだけ」の計画にとどまっている整備計画もあるように思われます.現行の河川整備計画を横並びで見て,現場での取り組みの状況も含めて評価し,旧態依然の計画については整備計画変更をかけることも(相当な労力を伴うとしても)必要なのではないかと思います.
(加えてもう一点…) 土砂輸送に伴う地形変化のみならず,植生の定着,遷移,流失なども含めた河道内物理環境の予測技術の開発は,コンサルタント各社で取り組まれており,この数年で一気に進んできた感がありますがそれぞれ特徴があります.そういった近年の技術の進展も,河川管理者側で認識されていないのではないかと感じる場面が多くあります. 河道内で起こっている現象を知っていれば,そういった検討手法の必要性も限界も理解しやすいはずなのですが,多自然川づくりの全国会議などの事例を見ていると,とても丁寧な検討が行われている河川がある一方,まともな検討が行われないまま乱暴な伐採・掘削がなされている河川もあり,伐採・掘削の現状についてのレビューも必要なのではないかと思われます.
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もちろん研究者の方々からも大歓迎です
治水と環境の両面を考慮した河道計画を策定する上で、河道掘削を行った場合の河床変動の予測(平面2次元)が重要だと思いますが、現在どの程度の精度で予測可能なのでしょうか。
(治水上必要とされる精度と環境上必要とされる精度も異なるかと思います。)
河道というローカルな場を考える上で、局所にとどまることなく、流域や数十年程度の時間スケールを考えることが重要だと理解しました。河川のそれぞれの場における状況が違う(例えば、礫河川、砂河川で移動性がかなり異なるし、大河川と中小河川でも状況が違う)中で、統一的な「河道設計法」のようなものを現代において作る意味がどこまであるのかとも感じます。少し欠けていると感じますのは、それぞれの河川で、流域から流出する土砂の量・質はこの程度であり、それに対応する粒度分布があり、それぞれのインパクト・レスポンス関係がある。そういった中で、特に中小河川の河道設計は単調で、考え方が十分でないように感じています。
土砂レジームが中長期的な河床形態や河床環境に与える影響,掘削後に再堆積する土砂の粒度分布はおそらく移動性が高い細かいものからやってくるであろうことなど,考慮すべき事項はいくらでもあると思います.
そういった感覚を,河道管理に関わる河川技術者の共通認識に高めることが大事で,一部の人間だけが分かっていれば良いというものでもないと思います.
とくに河川管理者が事務仕事が多忙であまり現場を見られていないことは,河道で起こっている経年的な変化,出水前後の変化,河川間の比較…といった感覚をもたないまま計画業務にあたっている中堅若手も多く,河道の見方,流域の見方についての普及啓発と人材育成を並行して進めなくてはならないと思います.
(中部地方整備局では,治水と環境を包括した河道の見方,みたいな研修にも一部取り組みはじめておられます)
河道計画検討の手引きのように,現場への影響力が大きい基準に,河道の見方,流域の見方といった知見が実装されていくと良いな,と個人的には思っておりますところです.
ご返信ありがとうございます。旧来の「河道断面はこうだ」といったものを想像していたので、それなら無い方が良いと思っていたものです。まさに原田先生がおっしゃるような、流域の見方といった時空間スケールの大きい観点と「河道」というローカルな視点が統合的に理解され、そういったものが「河道計画検討の手引き」のようなものに実装されていくことが大変重要だと思っています。
上記は言葉足らずでしたが、「これを読めば自動的に河道設計ができる」ような思考停止マニュアルではなく、河道設計をする人が学び、現場を見、考え悩むことのできる河道設計法が必要だと思っています。そのために、原田先生がおっしゃるような、流域の観点、経年変化、流域比較は根本的に重要で、そういった基本的な理解と最新の数値解析や計測技術が融合した河道設計法が、本当に必要とされていると感じます。またいろいろと教えてください。
個別箇所のデータ集積や、要素的な解析技術開発は進んでいるのだと思います。しかしながら大変失礼ですが、20年前に土研で治水と環境という観点で研究に関わっていた頃の議論と比較して、10年1日の感がありました。国土強靭化で、河川改修が進む中、いくつかの現場で、予測や観測を徹底的に実施して、知見を高めることが必要ではないかと感じます。偉そうなことを申し上げてすみません。
(以下,個人的意見です)
同感です.この10年間は,とりわけ平成30年西日本豪雨以降は,河川環境への現場での取り組みという面ではむしろ退歩した側面もあるのではないかとさえ思われます.一方で,伐採・掘削がずんずん進む中で,河川環境へのインパクトを何とかしたいと思っておられる技術者の方々も多くおられますので,「伐採・掘削後に川がどうなるのか?」という検討は,マストである,というくらいにしていただかないといけないと思います.
>国土強靭化で、河川改修が進む中、いくつかの現場で、予測や観測を徹底的に実施して、知見を高めることが必要ではないか
おっしゃるとおりかと思います.
国土強靭化以前の議論としまして,公表されている河川整備計画を拝読しますと,流域や河川や地域の特性を踏まえて河川環境への取り組みが良く検討されている整備計画と,「ただ洪水を流すだけ」の計画にとどまっている整備計画もあるように思われます.現行の河川整備計画を横並びで見て,現場での取り組みの状況も含めて評価し,旧態依然の計画については整備計画変更をかけることも(相当な労力を伴うとしても)必要なのではないかと思います.
(加えてもう一点…)
土砂輸送に伴う地形変化のみならず,植生の定着,遷移,流失なども含めた河道内物理環境の予測技術の開発は,コンサルタント各社で取り組まれており,この数年で一気に進んできた感がありますがそれぞれ特徴があります.そういった近年の技術の進展も,河川管理者側で認識されていないのではないかと感じる場面が多くあります.
河道内で起こっている現象を知っていれば,そういった検討手法の必要性も限界も理解しやすいはずなのですが,多自然川づくりの全国会議などの事例を見ていると,とても丁寧な検討が行われている河川がある一方,まともな検討が行われないまま乱暴な伐採・掘削がなされている河川もあり,伐採・掘削の現状についてのレビューも必要なのではないかと思われます.