The symposium about river engineering, 2022

自治体の水防災まちづくりに関する法律・制度から見た検討とその課題

著者

福岡 龍1,福岡 捷二2

1.中央大学大学院 理工学研究科 都市人間環境学専攻 博士課程前期課程,2.中央大学 研究開発機構 機構教授

説明資料

コメント (3)
  1. 内田 龍彦 より:

    『水防災・減災まちづくりは技術と法律・制度が両輪となって進められるものである』という本質的な指摘を行ったうえで法律・制度を視点とした貴重な検討をご発表いただき,ありがとうございました.二つ質問があります.
    一つ目は,冒頭の計画を上回るという意味ですが,これは計画雨量や流量を上回る点に限定するのか,あるいは現在の整備途上の河道の流下能力に対する超過の話を含むのか,についてお考えを押しててください.
    二つ目は,まさに最初の指摘についてですが,ご発表資料の4,7枚目の整理を通して河川技術を見ると分かることはございますでしょうか?例えば,技術的にはクリアしているが法的には難しいとか,法整備の前に技術が確立される必要があるなどについて,あるいはこれらとは異なる視点などお考えを共有いただけると幸いです.

    1. 福岡 龍 より:

      ご質問ありがとうございます.ご指摘頂いた2点について答えます.
      ・「計画を上回る」という意味について
      本研究では,整備途上の河道の流下能力を含め施設能力を超過する外力に対して,河川整備を進めながら氾濫リスクに対して流域・地域としてどのように備えるのか,自治体の水防災・減災まちづくりを視点として検討を行っております.
      ・法律・制度の検討を通じて河川技術を見ると分かることについて
      2点目の質問は法律と技術の関係性についての内容と拝察し,法律・制度の検討を踏まえて考えを述べます.
      近年の豪雨災害の激甚化や頻発化により,各地で氾濫被害が発生する中で,社会秩序及び行政判断の規範となる法律は被害の軽減に向けた整備が進められつつあります.令和3年の流域治水関連法では避難や水防活動等のソフト対策が中心にあった災害対応からハード対策を含む緊急時の減災まちづくりに向けた対策が推進されています.法律・制度が整備され治水や水防災・減災まちづくりの対策の幅が拡がれば,対策を支える技術も追随して検討することが求められます.一方で,技術が進むことで被害実態や氾濫機構が分かれば必要となる対策項目が明らかになり,対策の根拠となる法律・制度の整備が求められる場合も考えられます.技術検討を進める中で技術側から法律・制度として検討が必要となる事項を提案されることも必要で,相互が影響し合いながら法律・制度,技術を充実させる視点が重要だと考えます.技術から法律へ,法律から技術へというインタラクションのある中で,技術と法律・制度を両輪として水防災・減災まちづくりが進められるものと考えます.

      1. 内田 龍彦 より:

        丁寧なご回答ありがとうございました.今後の防災減災まちづくりと合わせて,インターラクションの活性化と今後の研究の進展を期待しております.